広島駅弁当グループが2017年、広島駅内に開いた。広島の玄関口でカジュアルにすしを楽しめる。「瀬戸内の魚、季節の食材、地酒にこだわっています。日替わりの『瀬戸内特選にぎり』が一番人気。グループの名物でもある穴子料理も当店独自の味で自慢の一品です」
開店当初は観光・インバウンド向けを想定したが、コロナ禍の中でも通った地元客への丁寧な接客、メニューの工夫を徹底し続け、現在では地域の常連客が全体の半分を占めるという。
従伯父が和食店を営んでおり、その姿に憧れた。広島酔心調理製菓専門学校を卒業後、和食店を5年経験し入社した。
「愛がないと、おいしいものは作れないという従伯父の言葉を信念に持ち、家族に料理を作るように、仕込み・調理・サービスなど全ての工程に愛情を注ぐことを大切にしています。グループの本店、仕出しなど、ブランディングにも力を入れ、あじろやはおいしくて安心と思ってもらうのが使命です」
サンフレッチェ広島とクラブパートナー契約を結んでいます。その一環で9月、中区の本通商店街に構える「三井のリハウス」の店舗シャッターに、クラブマスコットのサンチェとフレッチェを身長約2メートルの大きさでデザインしました。写真を撮って楽しんでもらえれば。2月には新スタジアム開業に併せて、紫色の駐車機器などを置いたサンフレ仕様の「三井のリパーク」を中区八丁堀に開設しました。
店舗シャッターのお披露目には、森崎浩司アンバサダーをお招きしました。ルックスは無論、振る舞いを含めて人間的に素晴らしい。ファン感謝デーに参加しても、選手の皆さんのファンに対する姿勢、素敵な人間性にいつも感心しています。
マツダスタジアムを含め、広島のスポーツを通じた街づくりは素晴らしいと思います。新サッカースタジアムの建設費の3割弱が企業や個人からの寄付で賄われた事実はすごい。これは地元のスポーツ熱が高いことを物語っています。
当社を東京本社の支店だと思っている方が多いですが、広島本社の会社です。約180人の社員のうち、東京からの出向者は私を含め2人だけで、地域採用の社員が活躍しています。こういった地元スポーツへの応援を含めて、一層地域に根差した活動を広げていきます。
長年の経験がものをいう。イタチやヤギ、ウマなど動物毛の選別から始まり、73の工程を踏んで、ようやく1本が仕上がる熊野筆。根気の要る地味で、丹精な仕事の積み重ねが伝統の技として根付き、産地を形成している。
後継者育成も急務。10月9日に伝統工芸士の荒谷城舟さん(87)と實森得全さん(79)が次代を担う若手を指導した。筆の命の穂首を作る上で見逃してはならないポイントなどを伝授。現在、熊野筆の伝統工芸士は11人を数えるが、10月3日には7年ぶりに女性筆職人が伝統工芸士の認定試験を受けた。
筆生産量で全国一の熊野町に開館した筆の博物館「筆の里工房」(椋田昌夫館長)が30周年を迎えた。書筆の誕生から変遷をたどりながら筆文字の美しさと日本文化の奥深さを伝える。国指定の伝統的工芸品の書筆をはじめ画筆、化粧筆を合わせて約1500種類をそろえる熊野筆のセレクトショップもある。
11月4日まで記念展「定家様が伝えた文化ーそうだったのか藤原定家さん」を開く。徳川家康も定家の筆字を愛好し、書写したという。職人の筆づくりに思いをはせながらいにしえの書に向き合うと、その味わいは一層深まる。
文化・芸術のまちづくりを標ぼうする町は、2026年度を目途に工房隣接地へ観光交流施設の整備を計画。工房では先行して運営の一翼を担う会員組織「KCP」(クマノクリエイティブパレット)の育成にも注力している。新施設での創作やものづくりの体験コンテンツの造成を通じた仲間づくりや地域活性化を目的に掲げ6月にスタート。
「プロとアマチュア、老若男女、町民を問わず、書画や写真、音楽、演劇、園芸などさまざまな分野に興味がある人が集い、自らのアイデアでまちづくりを推進。博物館というアカデミックな施設に、地域に目を向けた交流の場を併設することで新たな筆のまちの将来を描いていく」(同町)
12月のワークショップでは会員にテーマごと、まちづくりに向け何が実践できるのか意見を出し合う。
一方、熊野筆事業協同組合(79社)は10月4〜10日、伝統的工芸品産業振興協会の伝統工芸青山スクエア(東京)に「広島県 熊野筆の世界」と題して出展。お好み焼きのソース刷毛なども展示販売したほか、實森得全さんの子息、将城さんが筆製作を実演し、筆づくり体験も行った。11月8〜10日は243品目を数える全国の伝統的工芸品が石川県に一堂に集まるKOUGEI EXPO(第41回伝統的工芸品月間国民会議全国大会)へ出展。現在、伝産協から産地支援を受けるため、課題を洗い出し振興計画をまとめるなど来年度申請に向け準備が進む。竹森臣理事長は、
「数年前は筆産業の売り上げ規模は100億円を超えていたが、現在は大台を割り、化粧筆が過半数を占める。職人の高齢化や担い手不足、入手困難な原材料をはじめコスト高が続き、将来不安を感じている組合員は少なくない。毛の癖を直す工程で使われる火のしなど筆を作る道具の職人もいなくなっている。需要は変化し、伝統継承の環境は厳しい。ひるむことなく熊野筆ならではの本物の力を磨いて次代へつなげたい」
熊野筆のブランド強化へ中国や欧米、韓国、台湾、UAEなど海外12カ国にも商標登録し、来年はインドやベトナムも予定。品質を武器に世界で勝負する。